六 水路の動物
タナゴの仲間
タナゴの仲間であるカネヒラ(体長一二cm(タナゴ亜科)【準絶】)を東小田下区の水路で確認。イシガイなどを産卵母貝にしている。口の端に眼径の半分よりも短いヒゲがある。タナゴ類では群を抜いて最大級、婚姻色が美しいので観賞用として人気が高い。
カネヒラ(東小田下区)
排水路や溜マスにマルタニシが復活
田屋橋と新橋との間、草場川左岸側の水田一帯にある大きな水路には、古代から人々に親しまれてきたマルタニシが群れを成して繁殖している。また、国道三八六号線バイパス近くの弥永・依井の水田地帯・東小田下などの水路でも容易に見つけることができた。稲作で水が不必要になった期間の水路や溜マスに、泥と水が少しでもあれば、個体数の多少はあっても、何処にでも生息していると考えてよい。タニシの復活である。
用水路に一時的に生きる動物
水稲耕作が始まると、用水路に水が流れる。用水路は排水路に比べると幅が狭く、流れも速い所と緩やかなところがある。水路によっては、トビケラ・カゲロウ・シジミガイ・カワニナ・モノアラガイ・サカマキガイ・ミズムシ・ヤゴ・ヒル・サワガニ・ミナミヌマエビ・スジエビ・ヤゴなどの底生動物、フナ・ヨシノボリ・オイカワ・ドジョウ等の魚類、これらの動物を餌とするコガタノゲンゴロウ、溜マスや分水マスには、マルタニシ・スクミリンゴガイ・ヌマガエルなどが加わる。
淡水に生きる海綿動物
海綿といえば、一般には海水性のものがよく知られているが、淡水に生きる海綿もいる。今回は、三輪中央浄化センター傍の東側の排水路で、カワムラカイメンを確認。半日向を好むため、橋の下付近に生息する。緑色をしているのでコケ類や藻類と誤認されるが、このカイメンは本来白っぽい体色の動物である。ある種の藻類が共生して、緑色を呈すると考えられている。白球の芽球細胞群(がきゅうさいぼうぐん)は生き残り、翌年に発芽して新しい海綿となる。環境指標動物として考えられ、その研究が進められている。
橋の下に生息するカワムラカイメン(高田)
白球は芽球細胞群
水路に良く訪れる野鳥
◆セキレイ類(セキレイ科)
この仲間は通称、石タタキとも呼ばれている。石の上で尾を頻繁に上下させている様子から名が付けられている。田・畑・川・ため池・公園の広場・家の庭など、ありとあらゆるところに現れる。流水の水辺で見る姿はより美しい。セグロセキレイは留鳥、キセキレイとハクセキレイは留鳥・漂鳥(ひょうちょう)である。食性は三種共通して水底や土中の昆虫類・ミミズである。
セグロセキレイ(中牟田)
キセキレイ(南高田)
ハクセキレイ(篠隈)
◆クサシギ(シギ科)
水の浅い所に訪れて、水生の昆虫や貝、エビ類を捕食する。冬鳥・旅鳥のため、九〜五月初めまで見かける。稲作で水が少なくなった水路には、単独で餌をせっせと啄んでいる姿をよく見
かける。
クサシギ(新町)
◆その他
コサギ・ダイサギ・アオサギ・カワセミ・ミヤマガラス・カワラヒワ・ドバト・キジバト・スズメ
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