十 筑前町古代人の動物の狩り
町内の方から「大昔の人はシカやイノシシをどんな方法で獲っていたのだろうか?」との疑問を投げかけられたので、本町の松延で発掘調査が行われた梨子木(なしのき)遺跡の報告書(文献一九九九)から、落し穴の図と写真を抜粋し紹介をした。
梨子木遺跡の落し穴遺構
落し穴は、総計四〇基検出されている。イノシシ・シカなどの哺乳類を捕獲するためと考えられている。穴は、一個のものと二個の連穴のものがある。長径一・五b前後、短径一b前後、深さ一b前後で、穴底には、杭が立てられていたと思われる穴(径二〇〜三〇cm、深さ四〇〜六〇cm)が掘られている。獣がこの穴に落ちると、杭と穴壁に挟まれて自由に身動きが出来ず、捕獲されたと考えられている。