六 川の恵み
今は昔
昔の人々にとっての川とは、水田への水利用、遊び場所、魚介類やカニを取りおかずとして食を楽しむ場所であった。また、水道がなかった時代には、ある程度の時間や場所を決めて、飲料水として使ったり、米や野菜などの食材を洗ったりする所でもあった。
川は、古より人々の日常生活と直接的なかかわりが多く、大切にされていた。また、「川の幸」は豊富で、釣り・いろいろな種類の筌(うけ)・カーバイトの灯りでのよぎり・川干し・網漁を楽しみ、採った川の恵みは家に持ち帰って食卓を賑わしていた。モクズガニ(山太郎蟹)やウナギは、山間の小さな谷川まで上ってきていたので、人々にとっては大きな食の楽しみでもあった。
今、現在
水質汚染が酷い期間が長く続いた影響もあって、現在、釣りを楽しむ人が少なくなっている。川で釣りをしている子どもに出会ったのも、二年半の間で一回だけであった。水質も随分と改善されてきた現在、釣や漁を楽しむ人が現れている。長音寺川で七〇cmのコイを釣り上げた人、上高場橋上方でフナ釣りをしている人、城山橋下方ではハヤ釣りを楽しんでいる夫婦に出会った。
釣り上げた70cmのコイ(長音寺川 1月)
フナ釣り(上高場橋上方)
ハヤ釣り(城山橋下方)
田屋橋上方では、カニ筌でのモクズガニの漁も行われている。
モクズガニ漁(田屋橋上方)
獲れたモクズガニ
四三嶋、草場川に架かる新橋上方の堰では、堰落しのとき投げ網でコイやフナ、ナマズなどの漁が行われている。毎年、数人で行われるこの投げ網漁は、城山を背景にした秋の川の風物詩である。
投げ網漁(四三嶋)
大漁(フナ・コイ)