<北山神社>
境内はそう広くはないのですが、2本のムクノキは大木に成長し、イチイガシの樹木やイロハカエデ、その他の雑木や草本類が生育しています。
<愛宕社>
愛宕社は、数本のスギと2本の椎木の大木とで、小さな森を形成して神社を風雨から守っています。
最も高く見えるのがスギで、その左右に枝を大きく広げている椎木があります。社周辺には赤い実をつけるマンリョウが多く点在しています。
昔、しいの実拾いの子どもたちの姿や祭りのときの人々の動きが目に見えるような鎮守の森です。
<ツブラジイ>
“しいの実拾い”は子どもの頃の懐かしい思い出ですが、他の種類のスダジイの実が大きいのに対して、小粒になります。
落ちたばかりのしいの実は艶やかに黒光りをしていて、子ども心にとても印象的でした。
ツブラジイの材は菌に冒されやすいので、中心部が腐れやすく、このためにツブラジイは寿命が短いのです。
100年を超えることは少ないといいます。
木炭材として、シイタケのホダ木として、その他建築材、しゃもじ等の器具材、防風樹、防火樹として利用されてきました。
また、樹皮から染料や渋をとって網など強化にも利用されていました。
<山の神様>
“山の神様”は村内のあちこちに存在しています。古城原の山の神様は、集落から離れた土師山林道へ少し入り込んだ所にあります。
社入り口にはアカガシの古木が威厳を成して小道を越えて伸びています。
社の周囲にはアカガシの大木が2本あり、ヤブツバキが多く10本程あります。
そのほかは、サカキ、ヒサカキ、ヤマグルミ、アリドオシ、ツルシキミなどの低木、高木の杉などがあります。
山の神様の社を囲むように点在しているヤブツバキが、ほのぼのとした優しさを醸し出しています。
林の中でよく見かけるアリドオシです。広い間隔を持った白い枝と赤い実と蟻をも刺し通す程の鋭い刺が印象的です。
<日本の伝統「鎮守の森」の重要性>
鎮守の森は日本固有のもので、神殿等の拝所を囲むように維持されている森です。岩屋神社の森は、山岳信仰の修験場として、或いは自然崇拝や地域の人々の幸せを祈願するため維持されてきた森です。
そして、森林に覆われた土地全体が信仰の対象になって来ました。これに対して、大行司の高木神社の森は、平坦な場所を切り開いて、そこに生育していた樹木や、植樹によって大切に維持されて形成してきた森です。
どちらの森にもほぼ共通していることは、植樹されているものも本来その地域にある樹木で、その地域の原植生が分かります。土地の開発が盛んに行われてきた中で、地域の自然を知るための数少ない手掛かりとなっていることも多いのです。
これは、宝珠山村に限らず日本の森林生態学での学術上重要なもので、鎮守の森は世界共通の公用語となっています。