飯田大和の自然教室
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bS 白化現象のニホンアマガエル(2006.9)

ニホンアマガエル
ニホンアマガエル(朝倉市馬田)


ニホンアマガエル

 エッと思われるかも知れませんが、一番上の写真は一般に慣れ親しまれているアマガエル、正式名称は「ニホンアマガエル」です。普通に見られる黄緑色のアマガエル(2つ目の写真)とまったく同じものです。黄色のアマガエルは大変珍しいのですよ。
 どうしてこんな色に? 実は、白色のハツカネズミや神の使いとして大切にされている白ヘビは、突然変異で体の黒い色素 が無くなって白くなったものです。
 アマガエルは黒と青と黄色の3つの色素を持っていますが、黒と青の色素が突然変異によって無くなって黄色となったのです。正に黄金ガエルですね。青と黄色の色素が混ざると黄緑色となります。これが普通のアマガエルの色です。
 では、黒と黄色の色素が無くなったら? 青色ガエルです。
 私たち人の皮膚が太陽光線に多く当たると日焼けをして黒くなるのは、ご存知の通り、体にとって有害な紫外線から身を守るためにメラニン色素が多くできるようになっているからですね。冬になると紫外線も弱くなり、逆にメラニン色素が減少して白味を増していきます。人種によって肌の色が異なるのはこの色素の量によるものです。


< どこで見つけたの? >

 田んぼで見つかったものです。私は朝倉市の馬田保育園に勤めていますが、実は、園児のお母さんで身のまわりの生き物に大変関心のある方がおられます。その方が、散歩の途中、田んぼの中で泳いでいるおたまじゃくしを採って持ってこられたものです。それを保育園で育ててみました。
 白化した(アルビノという)おたまじゃくしは、昨年は1匹、今年は3匹も採ってこられました。


馬田保育園の園児の皆さんが名前をつけました。「ケロ」ちゃんです。
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普通のおたまじゃくし(7月20日)


アルビノのおたまじゃくし(7月20日)


水中から陸への一歩(7月31日)


尾も消えて成体に(9月1日)


随分と大きくなりました(9月20日)


<カエルと環境について>

 日本では、昔からカエルと切っても切れない関係にあるのが田んぼです。アルビノで紹介しましたニホンアマガエルは田んぼに水が入ると、民家や畑、林などその周辺から産卵に集まってきます。朝倉市の平野部の田んぼには、そのほか、ツチガエル、ヒキガエル、トノサマガエル、ヌマガエルなども集まってきます。秋月、江川、高木、白木、松末、大山、小石原、宝珠山の山間部の田んぼではニホンアマガエルに良く似ているけれども一回り大きいシュレーゲルガエルが見られます。

〔カエル族について〕

・日本に住んでいるカエルにとって、田んぼは我が家であり産婦人科でもある大切なものです。
・平野部の田んぼでは、近年少しずつカエルの数が増えてきました。一時期は水田からカエルの鳴き声がすっかり消えた時期もありました。
・稲の消毒や化学肥料が多くなると田んぼからカエルが少なくなります。その影響で害虫が増えます。害虫が増えると農薬をさらに散布しなければなりません。そうすると、カエルがさらに減少します。
・カエルのいない田んぼの害虫に目をつけたのが、海岸や河口付近で住処を失くして内陸部に侵攻してきたサギ類(コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アマサギ、)で、農薬や化学肥料から生き残ったカエルにとっても、天敵から逃れるのにさらに住みづらくなったようです。

 トノサマガエルが平野部の田んぼから消えた要因のひとつに、人工的破壊による地球のオゾン層の減少で紫外線が強くなり、その紫外線で卵の孵化率が悪くなってトノサマガエルが消えたとも言われています。
 カエルが減少している諸要因を具体的に追求し整理していくと、自然の一部である私たち人間の生活の在り方をいろいろと見直す必要があるかもしれませんね。


<ニホンアマガエルに学ぶ人生訓>

アマガエルの保護色を観て
事に当たるときは周りの状況によく合わせるも一策!


<ニホンアマガエルの分類と名称>

分類 目:無尾  科:アマガエル  種:ニホンアマガエル
学名 Hyla arborea japonica
和名 ニホンアマガエル


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