2007年も間もなく3月を迎える。カモたちは、シベリア大陸へ渡るためにそろそろ昼夜をいとわず栄養補給を開始する。
今年は、早々と渡りの準備に取り掛かったものも多い。草原の草や川の水草をひたすら食べる、食べる。おまけに又食べる。相当なエネルギーが必要なのですね。
2006年の平塚川添遺跡公園へのカモの初飛来は9月19日、台風13号が通過した翌日です。コガモが10羽飛来しました。4月中旬この環濠を最後に飛び立って行ったのは同じ種類のコガモです。約5ヶ月ぶりに戻ってきました。
しかし、11月中旬の現在カモの数は例年に比べて極端に少ないのです。今年の秋は晴天が続き環濠の水が少ないので、カモはあちらこちらの川やダム、小さな池に分散しているようです。実際に、近くの小石原川には例年よりも数多くのカモを見かけます。
平塚川添遺跡公園にいつごろからカモが飛来したのでしょう。平塚川添遺跡が再現され、できた環濠に貯水されたのは2000年の初めですから、それ以降に飛来したことになります。
私が調査を開始した'02年の秋には200羽を超えるカモの群れを観察できました。寺内ダムや江川ダム、その他の堤などに飛来していたものがこの環濠に集まり始めたのでしょう。多いときには、300羽を軽く超えます。
(Q1)
・平塚川添遺跡公園に訪れるカモの種類は?
(A1)
・6種類観察確認をしています。(コガモ、マガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ハシビロガモ、ヨシガモ)このうち、ヒドリガモとコガモがほとんどです。ハシビロガモは数羽ですがいつでも見ることができます。ほかの3種類は、たまに数羽見かけるぐらいです。
(Q2)
・どこの国から渡って来るの?
(A2)
・シベリアや中国大陸北部です。九州には来るカモは、主に朝鮮半島を経由して渡ってきます。
(Q3)
・カモたちの餌は何ですか?
(A3)
・どのカモにも共通した餌は、草の葉、イネ科植物などの小さな草の実、水中の水草などです。その他、カルガモは水生昆虫や貝類、ハシビロガモは泳ぎながら幅広い大きな口ばしで水面の水をろ過して、水中のプランクトンを食べます。
(Q4)
・カモはいつ見ても、水面で泳いだり、土手で休んだりして、餌を食べているようすを見かけたことはないのですが?
(A4)
・カモが餌を摂る時間は夕方遅くからなので見かけないのです。ほとんどのカモが薄暗くなって環濠を飛び立ち、近くの小石原川や筑後川に行って餌を摂っているようです。ハシビロガモがプランクトンを摂っている様子は昼でもよく見かけますよ。
・3月の春になると、公園の広場の草を大群で食べている様子を昼でも見かけることができます。カモが北の国へ旅立つための栄養補給の行動です。ひたすら食べるのです。
(Q5)
・どうしてまたシベリアや中国大陸北部へ渡っていくのですか?
(A5)
・繁殖のためです。夏の間に子育てをして成長した若鶏を連れてまた秋に渡ってきます。
「エクリプス」
・子育ての時期は敵から身を守るためにきれいな羽をしたオスも、メスと同じような羽の色になります。このときのオスの羽の色をエクリプスと言います。
「のび」
・人の背伸びのような行動で、翼と足を横に伸ばしたり、翼を上に上げて首を伸ばしたりします。
「羽づくろい」
・口ばしで羽づくろいをしながら、腰から出る油を羽に塗っています。