オキチモズクについては、NO.9('06.12)で報告をしています。今回はその続きで「その2」として生育環境に関する報告をいたします。
はじめに、オキチモズクが大きく成長する条件について説明しておきましょう。
流速25cm/秒程度の流れで、成長を妨げる他の植物や物体がなければ、水深10cm程度の場所でも1m近く成長することが分かりました。
NO.9でも報告していますが、さらに、3m70cmの超特大の長さのものが確認されました。標本で保存しています。(07年4月28日)
平成20年1〜6月までの馬田保育園駐車場横水路の国道500号線上方400mにわたっての範囲は、オオカナダモの大繁殖のため、オキチモズクの生育状況が不明でした。('08.6・30)
ジュース缶や生活用品等の廃棄物があると砂泥が堆積して、そこにオオカナダモが生育を始めます。
オオカナダモの成長とともに、生活廃棄物や砂泥がさらに溜まります。やがて、オオカナダモの群落が小川全体を征服していって、魚類や他の水生植物が棲みにくくなります。
朝倉市内の小川を見て廻ると、手入れが放置されその上にモラルに欠けた人の不法投棄物がなんと多いことでしょう。
サラサラと気持ちよく流れる小川にしたいものですね。
人々のモラルの低下で荒らされた小川では、生物界のアンバランスな生態系が形成されています。
そこで、2005年10月に「オキチモズクを見守る会」を15名で結成して、小川の清掃活動を始めました。不法投棄物の片付け、繁茂し過ぎたオオカナダモの除草、流れてくる袋類や衣類などを引っかける岸辺から水中に伸びている草木の刈り取りです。
用排水路には様々なものが不法に投棄されています。
テレビ・パソコン・ワープロ・蛍光灯・大型冷蔵庫・電池・耕運機の歯・草苅がまの歯・ジュース缶・ビン類・衣類・ブロック・ブラインド・キャスター窓ガラス・ビニル袋・陶器・雨傘 等など・・・・
モラルの低下を若者に焦点を当てがちですが、投棄物を見ると大人の方も問題のようです。
不必要になった生活用品を、なぜ溝や小川や河川に捨てるのでしょうか。少量の野菜類などの有機物を捨てるのならまだしも、分解することのない物品を平気で捨てる心が悲しいのです。
私たちが清掃活動を始めた小さな用排水路で前記のような状況ですから、これらのゴミが集まってくる小石原川、さらに筑後川、さらには有明海などの水底の状況は恐ろしいばかりの状況があることは容易に推定できます。
実に悲しいことではありませんか。有害物質を有する廃棄物の集積しているそのような所から採れる魚介類などを食卓にもってくるのですから・・・・・・・。 そのつけは、必ず、自分や子、孫、代々の子孫の身体や精神の異常さに返されてくることを敏感に察知できなければなりません。
○ 昔から物を川に捨ててきた生活習慣を改めましょう。昔は腐食するものだけでしたよ。
○ 自分がよければというモラルに欠けた生活習慣を改めましょう。
○ 外出先で生じたどんな小さなゴミでも家に持ち帰りましょう。
○ ゴミは行政機関のシステムで片付ける生活習慣を身に着けましょう。
約800mの下浦農業用排水路では、根気よく清掃活動を行った結果、2006年3月の環境調査会社の専門者による詳細な調査で、最長1m近くの大きいもの、株数においては大小様々の大きさのオキチモズクが約1万3千株確認されました。
2007年3月の現在、今も小川の清掃活動は続いています。
深さや流速は場所によって異なりますが、水深35cm流速40cm/秒の場所では91cmに成長しています。ここは、底面がしっかりしていて障害物がない場所です。
水深15cm、流速は10cm/秒ほど、全体的に流れはゆるやかです。20cm前後のものが多く、大きいもので30cm程度です。コンクリの壁面や底面の石に付着している。
水深は10cmほど、流速25cm/秒のところで、92cmと大きく成長しています。底面はコンクリで、成長を遮るものがありません。直射日光の照射時間が短いところです。
湧水池から流出した溝に生育する。流速6cm/秒と大変ゆるやかな流れで、深さは10cm程度です。大きさは約5cmと、極端に小さいオキチモズクです。
水深7cm、流速約20cm/秒と流れは比較的サラサラです。底面は砂地が多い。埋もれた小石に生育していて株数は少なく、長さは20cm前後です。
<異変1>
今冬は、例年繁茂していた下浦用排水路のC区〜G区では、一度生え出していたオキチモズクが途中で消滅している現象で、この冬に気付いただけでも2回は顕著に生じています。
<異変2>
例年、水底や壁面にはカワゴケがビッシリと生えていたのが、除草剤でも掛けられたかのように全く生えてなくて、コンクリ面が不気味なほどきれいです。オキチモズクも途中成長を始めていた壁面で3月4日現在、全く見られない現象が生じているほどです。
<異変3>
カワモズクの生育も、調査区C区〜G区でも極端に減少しています。
この異変の原因追及の手立てとして、今後生育してくるはずの種々の水中植物の生育状況、顕微鏡下の生物、底生生物の状況、鱗の小さな魚類の有無、水質検査等さまざまな継続観察を行ってみたいと思います。