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10 川岸(2) 「宝珠山川」(2011.6.13)



 大行司橋  〜  一ノ瀬橋  〜  松尾橋
  大行司橋から一ノ瀬橋にかけては短い距離にかかわらず、各種の樹木等が見られます。

クワ、 エノキ、ネムノキ、ウツギ、ムクノキ、ヤブツバキ、ハゼノキ、クワ(大木)、アオキ、ケヤキ、イヌビワ、アラカシ、ウメ、クヌギ、ヌルデ、コクサギ、ヘラノキ、スギ、カキ、シュロなどの樹木、テイカカズラ、フジ、ツルウメモドキ、ノブドウなどのつる性の植物、チマキザサ、ヤダケ、ホウライチクなどの竹類が生育しています。

ネムノキはマメ科植物で、ダイズやエンドウ、ハギ類と同じ仲間です。6月から7月初めにかけて優しい淡いピンク色の花が咲きます。

秋になると、ダイズの鞘に似た実を付けます。

名の由来は、夜間になると小葉が眠るように閉じることによります。

6月に咲いたネムノキの花 
 
自然の樹木が多い左岸


果実を付けたツルコウゾ


桜の木に似たハルニレ
一ノ瀬橋から松尾橋にかけては、山が降りてきたところが川岸になっているのであまり人の手が入らず、古からの植物が自生している貴重な場所となっています。


ここには、ツルコウゾの大群生があります。ツルコウゾは和紙の原料となるコウゾやカジノキと同じなかまです。写真には朱色の粒が見え ますがちょうど果実を付けています。


果実でジュースを作ることができます。


右岸水田の土手には、ハルニレが生育しています。東北地方に多い樹木で、四国、九州にも自生しています。葉など桜によく似ているので、近づいて見ないと見違えることがあります。


(左岸)には、ケヤキ(多)、アラカシ(多)、ヤマフジ、エゴノキ、ナナメノキ、シロダモ、ケヤキ、シロダモ、クリハランの群生(シダ類)、チシャノキ、シラカシ、ヘラノキ(多)、クマイチゴ、ナガバノモミジイチゴ、タラノキ、アワブキ、アカメガシワ、ノイバラ、ヒサカキ、エゴノキが自生しています。


(右岸)には、チマキザサ、ケヤキ、コマユミ、ウツギ、エノキ、ヤブツバキ、アケビの群落、イヌビワ、ネコヤナギなどが自生しています。
 松尾橋  〜  長田橋  〜  掛橋橋

松尾橋の上方
松尾橋のすぐそばにはヘラノキがあり、へらや花・果実の成長の様子を観察しやすく写真撮影もしやすい。

左岸にはコクサギ、ムクノキ、チシャノキ、ノブドウ、アカメガシワ、アラカシ、シラカシ、ヤブツバキ、ヤタケ、メダケ、ヤマフジ、イヌビワ、ホテイチク、ハゼノキが自生し、右岸にはホテイチクの大群生やチシャノキ、クワが自生しています。

ホテイチク(ごさんちく) 
ホテイチクは、村内では「ごさんちく」と呼んでいる竹のなかまです。

川岸の竹としては、メダケと同じように村内の川には転々と見受けられそれぞれ群生しています。

竿の根元付近の節が斜めになり、節の膨らみの様子が七福神の布袋様の膨らんだ腹を想起させることから布袋竹と名付けられました。

好みの「ごさんちく」を切って自前の釣竿で魚釣りに夢中になったことも今は思い出のようです。

杖としてもよく用いられていました。竹の子はえぐみがなく美味しく6月頃まで採ることができます。
 

食用になるチシャノキ
チシャノキは別名「かきのきだまし」と呼ばれていますが、一見葉や木肌が柿によく似て間違えやすいからです。

若葉が食用となり、その味がチシャ(レタス)に似ているのでこの名がつきました。

チシャノキは、大肥川と宝珠山川の川岸にいずれにも見られ、山野の道付近でもよく見受けます。
 
自然を感じる左岸
桑の迫の県道から急坂の農道を降りた対岸

奈良尾側の左岸には、クワ、ヤマフジ、ハゼノキ、エゴノキ、シロダモ、     群生のツルコウゾ、ハゼキ、ツルウメモドキ、ウツギ、ナワシログミ、アオキ、ヤブツバキ、ノブドウ、ヤタケ、ノイバラ、スイカズラ、ネムノキが自生し、


右岸にはチシャノキ、ネムノキ クマノミズキ、ハゼノキヌルデ、が自生しています。
 
繁殖力の強いヌルデ
ヌルデは繁殖力が強く、村内の山野を問わず至る所に自生していますが昔は大変利用価値の高い有用な樹木でした。

雌の木には、小さな多くの果実が垂れ下がりロウを取っていました。

また、葉にアブラムシが寄生し虫えいができますがこれを五倍子と言います。タンニンが多く、皮なめしや黒色染料の原料にしたり、インキや 白髪染めの原料にしていました。

かつては、お歯黒といって、既婚女性や18歳以上の未婚女性が歯を黒く染める材料にしていました。

生薬として五倍子は腫れ物、歯痛などに用いられました。

木材は色が白く材質が柔らかいので木彫の材料、木札、木箱などに利用されています。

名の由来は、幹を傷つけて白い液を採り、それを器具などに塗っていたことによります。

果実の表面の白い粉をなめると塩辛い味がするので「山塩」ともよんでいます。葉の軸には他の樹木には見られない翼があるのが大きな特徴です 

道路沿いの鎮守の森
千代丸にある歳の神の境内は狭いのですが、ここにはアラカシ、ムクノキ、モチノキなどの大木があり、ネズミモチ,スギ、タブノキ、ネムノキがこんもりとした鎮守の森を形成しています。


晩秋になるとアラカシの実が社の周囲にたくさん落ちていますが小動物にとっては有り余るご馳走です。

親水公園のネコヤナギ



銀色の花芽
親水公園の橋近くのネコヤナギは見事な樹木です。


早春、銀色に包まれた花芽は春の訪れを感じ何とはなしに嬉しさ、楽しさの淡い感情をかもし出させます。


宝珠山川では、奈良尾橋下方ほか、至る所でみられますが大切にしたいものです。


上限の分布は金剛野橋上方の右岸です。


川岸に群生するセキショウ
上流の岩や付近は、川幅も狭くなり護岸工事などで、自然の樹木は稀で、川岸には比較的水温が低い清流に育つセキショウが目立ちます。

 サトイモ、コンニャク、ミズバショウなどと同じ仲間のサトイモ科です。形はまったく違いますが、いずれも多くの花をつけた細長い花茎のつくりが似ているのでなんとなく納得です。

セキショウは、昔から頭をよくする薬草として知られ、健忘症などによく効くとして用いられていたようです。

漢方では鎮痛、鎮静、健胃薬として胃痛や腹痛に、てんかん、リューマチ、瘍腫などに用いられています。


水源
宝珠山川はすり鉢状に並んだいくつもの大きな山々から集まってくる清流です。写真は、数多くあるその水源のひとつ、尾根より少し下ったところに染み出してきた水です。

この水は、浅間山西側の谷へと集まり、他の水源の水とともに宝珠山川へと集まり川や川岸のあらゆる生命の営みの源になります。

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