大肥川と宝珠山川との合流場所
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宝珠山村には2つの大きな川があります。1つは、小石原村皿山を源流として鼓の渓谷を通り、宝珠山村葛生に入り筑後川に注ぐ清流の大肥川と、この大肥川に、浅間山、釈迦ケ岳、大日ケ岳、城ヶ迫などの山系から水が集まって大行司でT字に合流する清流の宝珠山川です。2つの川にはセキショウやヨシも多く浄水作用が働き、どこでもカジカガエルの鳴き声が聞かれるところから正に清流と言えます。
大肥川と宝珠山川は、いずれも川岸の多くが護岸工事で施されて樹木類の植物は点在した状況です。川原に生えるネコヤナギなどの多くが刈り取られて昔の面影は少なくなっています。しかし、川岸には、昔、村の人々の生活を支えてきた桑の木やヘラの木が今は大木となってその面影を残し、保存木に指定できる価値を見せています。また、地域の原植生として残されている樹木や竹の種類は多く、これらの植物を起点にして、人の生活と自然とが共存していくこんもりとした温かい川づくりが出来る状況が残されています。
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葛生のこの橋の上方から下方にかけて、さらには、大肥川の所々にヨシが茂っています。ヨシの地下茎や根は長く繊細に分かれていて、水質を悪化させるリンや窒素の成分をよく吸収し、酸素を水中に取り込むなど、浄化するはたらきが大きいのです。
また、水中に生息する小魚や水 生昆虫が鳥などの天敵から身を守る環境にもなっています。
谷川近くの湿気の多い林 に自生し雌雄異株です。葉に花が咲き、やがて実となる珍しい樹木です。
地方名で、「嫁の涙」、「継子の手」やお灸に例えて「継子の木」と呼ばれ、昔の悲しい生活の一面を想起させます。
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ヨシの繊細な根
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ハナイカダ(嫁の涙)
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イロハモミジ |
砥石渡から川曲にかけては、クワ、マダケ、ホテイチク、ヌルデ、ウツギ、イロハモミジ、ヤマザクラ、ウツギ、アラカシ、バッコウヤナギ、イヌビワなどの自然木が、古から命を受け継いで自生しています。
主に左岸イロハモミジに多く見られます。
イロハモミジの名の由来は、1枚の葉が7つに分かれている裂片のものが多く、それを「いろはにほへと」と7文字に数えたことによります。
果実は羽状になっていて、実が乾燥して軽くなったとき、対になっているものが分かれて、回転しながら親木からより遠くに飛んで繁殖していく仕組みになっています。
モミジ類は共通した繁殖の仕方で、この実を片羽にして高いところから落とし回転を楽しむ遊びがあります。
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役場の対岸の川岸の林
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役場の対岸の絶壁には、アカシデ、マタタビ、エノキ、ムクノキ、ネムノキ、ノグルミ、シラキ、エゴノキ、クスノキ、ノリウ、ツギ、ヘラノキ、ヤマザクラ、シロダモ、アオキ、コナラなどの樹木が自生しています。
中でも岸壁から川面に垂れ下がるように生育しているヘラノキは見事です。この岸壁には、その大木1本と5本のヘラノキが自生しています。
ヘラノキは、樹皮の繊維が強いので、昔は、縄として利用されたり縫い糸や布が作られて様々な生活用具に利用され、人々の生活を支える貴重な樹木として育樹されていました。
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果実 |
役場対岸のヘラノキの大木 |
白っぽいヘラ形の苞 |
岸壁に自生するヘラノキ |
苞から花が下がる |